兵庫編 ・ 播磨の名物 No.49
いかなごのくぎ煮
いかなごのくぎに
神戸市垂水区
名物紹介
醤油と砂糖、生姜で炊いたいかなごの飴色の姿が、曲がった錆び釘に見える——それが「くぎ煮」の名の由来である。春先、いかなご漁が解禁されると、家々からくぎ煮を炊く甘辛い香りが漂う。神戸に春を告げる風物詩だ。発祥は垂水と伝わるが、駒ヶ林(長田)を挙げる説もあり、いずれにせよ神戸の漁師町が育てた味である。垂水の昼網には獲れたての新子を求めて人が集まり、炊き上げたくぎ煮を親戚や友人に送り合う習わしはいまも続く。小さな魚の佃煮が、人と人をつなぐ春の便りになっている。